近年、特定技能外国人の受け入れが注目されており、特に人手不足が深刻な業界、例えば飲食料品製造業や工業製品製造業などでは、特定技能外国人を積極的に採用する企業が増えています。特定技能外国人は、技能実習を経ることが多く、即戦力として活躍できる優れた人材です。本記事では、特定技能外国人を雇用するメリットについて、以下の3つの視点で解説します。
1. 即戦力としての活躍
2. 中長期的な雇用が可能
3. 採用コストを抑えられる
これらの事例を通して、日本人を採用する場合との違いを比較しながら説明します。
1. 即戦力としての活躍
飲食料品製造業や工業製品製造業において、即戦力として活躍できる人材の確保は、企業の競争力を維持するために不可欠です。特に、製造現場で生産性を上げるためには、即戦力となる人材が必要です。しかし、日本人を採用する場合、新卒や未経験者であれば、業務に慣れるまで一定の期間を要し、その間に教育や研修を行う必要があります。このため、教育や研修にかかる時間とコストが課題となります。
対照的に特定技能外国人は、特定の分野でしか就労することができない反面、特定の業務に必要な技能や知識を既に有しており、即戦力としての活躍が期待できます。例えば、飲食料品製造業では、製造ラインのオペレーションや衛生管理、加熱・冷却の技術などが求められますが、特定技能外国人はこれらのスキルを事前に習得しているため、採用後すぐに業務に従事することができます。また特定技能外国人として就労するためには、分野ごとの試験に合格するか技能実習(3年)を経る必要があり、その外国人にどのような経験や知識があるのかが明確になっています。そのため企業と労働者のミスマッチングが起こりにくくなっているといえます。そして、多くの特定技能外国人は、日本の職場環境に慣れていることが多く、社会文化や職場でのマナーにも適応しています。これにより、短期間で業務に慣れることができ、企業側も大きな負担をかけることなく活躍してもらえます。
2. 中長期的な雇用が可能
日本では、特に若年層の労働者が転職を繰り返す傾向があり、製造業などの現場においても人材の定着が課題となっています。どんな業種であっても、業務を習得するまでには時間がかかってしまうため、採用後に短期間で離職されると、採用コストのみならず教育や研修のコストが無駄になってしまいます。この問題を解決するためには、安定した中長期的な雇用が必要です。
この点特定技能外国人の場合、最長5年間の就労(1年毎の更新)が認められており、この期間内に労働力として定着してもらうことが可能です。また大きな違いとして、特定技能外国人の多くは、様々なハードルを乗り越えて就労しにきています。そのうえ、特定技能の在留資格はその企業のみで働くことが許されているため(変更は可能)、気軽に転職や辞職をすることが難しい一面もあります。さらに、一定の条件を満たすことで、特定技能2号への移行も可能となり、無期限で就労することができるようになります。このような仕組みにより、特定技能外国人は日本で安定して働くことでき、企業にとっても長期的な雇用関係を築くことができ、「生え抜きの現場リーダー」を見据えたキャリアパス設計が今後益々主流になっていくのではないでしょうか。
また日本で働く外国人の多くは、社会環境の良い日本で生活基盤を築き、家族を呼び寄せることを希望しています。そのため長期間日本で働く意欲が高く、日本人労働者と比較しても、企業側として安心して雇用することができ、若年層による求人応募の少ない地方企業様にとっても雇用創出の機会が拡大していくといえるでしょう。
3. 採用コストを抑えられる
人材採用には多くのコストがかかります。特に新卒や未経験の労働者を採用する場合、教育に時間とコストがかかります。求人広告や面接にかかるコスト、さらに入社後の研修費用も企業にとって大きな負担です。業種に限らず業務に必要な知識や技能を習得するまでには一定の期間が必要なため、その間の教育担当者の手間や業務への負担を考えなければなりません。また即戦力を雇うにしても、求めている人材を探し出すことは容易ではなく、採用計画が長期化し、その分コストがかさむことも少なくありません。
特定技能外国人を採用する場合、在留資格の手続きやビザ申請が必要ですが、これらのコストは求人広告や転職エージェントと比較して低く抑えられることも多く、先述のとおり雇用のミスマッチが起こりにくいため、計画的に支援機関を活用することでコストを抑えることが可能です。また、特定技能外国人はすでに必要な技能や知識を有しているため、教育や研修にかかるコストを大幅に削減できます。さらには、夜勤勤務や残業を厭わないケースも少なくなく、異動にも柔軟に対応できるという性質を有しております。これにより、企業は早期に生産ラインや業務を効率的に回すことができ、業務生産性を向上させることができます。
また特定技能外国人を雇用する際には、登録支援機関を活用することで生活支援や社会適応支援を外部に委託することができます。これにより、企業は社内リソースを業務に集中させることができ、特定技能外国人に関する手続きやフォローを専門機関に任せることで、運営の効率化が図れます。
さらに、特定技能外国人は日本での長期雇用を希望するため、離職率が低く、再採用にかかるコストを抑えることができます。特に製造業では、短期間での人員の入れ替えが生産性を低下させる要因となりますが、特定技能外国人を採用することで、定着率が高まり、安定的に業務を行うことが可能となります。
まとめ
特定技能外国人を雇用することは、飲食料品製造業や工業製品製造業など、即戦力が求められる現場において非常に有効な手段です。即戦力として活躍し、中長期的な雇用が可能であり、採用コストも抑えることができるという点で、日本人を採用する場合と比較しても多くのメリットがあります。確かにこれまでは、なり手がいない・制度ができて時間が経っていない・要件のハードルが高い等々の事情もと、特定技能1号の5年という上限を理由に採用計画が頓挫した企業様も少なくなかったといえます。そうした中、今後はルール上、特定技能2号になり雇用契約を更新し続けることが可能になります。企業にとっては、特定技能外国人の雇用を戦略的に活用することで、安定した人材を確保し、業務の効率化と生産性向上を実現することができるでしょう。
JAPAN行政書士法人は特定技能外国人の雇用に必要なビザ申請や在留資格の取得支援、さらに労働契約や雇用管理に関するアドバイスを提供し、企業の人材戦略をサポートしています。特定技能外国人の雇用に関心がある企業様は、ぜひ一度ご相談ください。/