今回は特定技能制度における分野追加に関して解説いたします。政府は人手不足が顕著な分野において外国人労働者を受け入れる為に、自動車運送業、鉄道、林業、および木材製造業の4分野を追加することを検討すると発表しました。これらの新分野の追加により、特定技能1号での受入業務はますます拡大されることでしょう。 追加には省令改正が必要であり、政府は2024年度内の閣議決定を目指しているとの報道もあり、今後の動向が注目されることでしょう。
4分野の具体的な業務範囲
まず第一に、具体的な業務範囲を見ていきましょう。自動車運送業では運転手、鉄道では運転士や車掌、林業では育林、木材産業では木材加工、という具合に現時点では検討がされております。
このような背景を受け、将来的には現在の製造業などの12分野から働く場が広げられ、数万人規模の人材確保を実現する狙いがあります。特定技能制度は、人手不足が深刻な分野に限り認められているため、新たな業務において4分野追加される運びとなりましたが、こうした流れは今後ますます広がりを見せていくことになるかと存じます。
既存分野への影響はどうなる?
では、既存分野への影響はいかがでしょうか。
飲食料品製造業においてはスーパーでの惣菜調理が、産業機械製造業においては繊維や印刷などの業務追加が予定されております。 また、自動車運送業では、物流業界において運転手の時間外労働に年960時間の上限が設けられ、物流が停滞しかねない「2024年問題」が指摘されていることからも、特定技能制度を人手不足解消の手段として頼る風潮は強まっており、各業界からの要望をうけて受入業務が拡大されるケースは増えていくのではないでしょうか。
なお、対象分野の拡大は2019年度の特定技能制度創設以来、初めての出来事であり、今後の動向が注目されるといえるでしょう。 確かに、「母国に仕送りをする」という目的だけではなく、日本が選ばれる理由としては、他国と比べ「在留資格の取得がしやすい」という点も挙げられることでしょう。こうした特徴を上手く活用することで、企業側の人材確保だけでなく、外国人側の日本でのキャリア形成にも繋げていくことが求められております。
産業分野の人手不足解消へ
まとめると、特定技能制度における対象分野の拡大は、人手不足に悩む産業分野において非常に有効な対策となり得ることでしょう。 特定技能1号の場合には5年の在留期限という上限がありましたが、今後は特定技能2号の分野拡大と、今回ご紹介した新分野追加を受けて日本人が行う附随作業に関しても幅広く人材を確保することが可能となります。
まだ特定技能制度を利用されていない企業様も、今回の制度改正を機会に導入を検討されてみてはいかがでしょうか。